Vol.291 「人を育てる」

致知誌今月の表題は、「人を育てる」である。これは、企業の経営に関わる大事業だと私は考えている。
なぜなら、人を育てるとは、人が生まれた時の未熟な能力を、境涯を通して進化発展させ、成長し続けさせる行為である。そのためには、受け身ではなく能動的であることだ。自発的であり、かつ積極的に進められる必要がある。
では、どうすれば自発的になれるのだろうか。人は他からの指示や縛りではなく、自由であることが第一である。人は、自由だからとずっと何もせずにいると苦痛を感じ、何かをきっかけに、自ら考え行動したい気持ちが沸いてくるはずである。それを自発的と言っているのではないか。
なぜ私がそんな考え方になったかといえば、過去に、タイムレコーダーを廃止し、社員の自由出勤を認め、信じたことで、「遅刻」「欠勤」を無くした経験からである。人は信じられれば、それに応えずにはいられないものである。そこに、自ら考え行動する自発性が生まれる端緒があるのだと思う。
我が社のタイムレコーダー廃止後の発展ぶりを知る人は多い。自発性を持った人こそ、自ら学び成長し続けていけるだろう。
しかもそれは、会社人としてだけでなく、一人の人間としての考え方、生き方となり、強いてはその者が、周囲に大きな影響を与えるようになる。またそれは、一方的に影響するのではなく、お互いに感じあえるものでなければならない。
そこに、お互いの成長が有る。
影響を感じ取れることに喜びが有る。これからも命ある限り勉強を重ねて、後継の者へ良い影響を与えていけるように、精進し続けたい。
『高松木鶏クラブ 多田野 弘顧問談(2026年5月)より』