クッキー(Cookie)の使用について

本サイト(www.tadano.co.jp)は、快適にご利用いただくためにクッキー(Cookie)を使用しております。
Cookieの使用に同意いただける場合は「同意する」ボタンを押してください。
なお本サイトのCookie使用については、Webサイトにおける個人情報の取り扱いについてをご覧ください。

検索

航海日誌

「人生の大事」

2024/03/01

いくら歳をとっても、やれるもんだよ。(多田野 弘)

表題は、私たちの人生にとって一番大事なことは何かを問うている。だが、すぐこれに答えられる人は少ないだろう。自分の人生にとって大事なことは山ほどあると思うが、「最も大事なことは何か」を答えるのは難しい。

言わずもがな、それは「自分は何のために生きるのか」という目的を持つことであろう。人生を真剣に考えるなら、避けて通れない課題である。その内容はどうであれ、少年期から老年期に至る各年齢層にふさわしい目的や目標があるはずである。それらは各人が持つ、人生観・価値観や環境によって決まってくる。

いずれにしても自らその目的を達成するには、心(理性・知識)ではなく、魂からの強い意志がなければ不可能であることは前回に述べた。しかしながら、強い意志さえあればいかなる困難も達成可能だとは言えない。魂から発する意志は命がけで精神を集中するので、瞬発的である。長時間持続することは難しく、何か別の要因も必要ではないかと考える。

私は、誰もが忌避するであろう常識外れの行動を長年継続してきた。例えば、元旦の海での寒中水泳を44歳から93歳までの49年間毎年続けてきた。他から見てこの不思議な行動は、単に強い意志さえあればできたのではない。先に述べた別の要因が加えられている。

要因とは、克己から得られる素晴らしい快感(悦び)ではないかと思える。自分をコントロールできた時の満足と自信は、いかなる悦びよりも勝っていた。それは脳裏に強く刻まれ、再現したい想いが身体を衝き上げるようになり、継続を可能ならしめた。克己から生ずる快感が、いかに大きいかが分かる。

こうした心境は、登山家にも見られる。危険の多い峻険な山を汗水たらして頂上を極めた快感は、それまでの苦難を吹き飛ばしてしまっている。彼らは次の機会に、より危険で険しい山を選ぶに違いない。

登山家に限ったことではなく、誰にも同じ精神構造が備わっている。その証拠に、克己の日々を過ごしてきたことが、私の充実した人生と103歳の健康体をつくってくれた。はばかりながら、「悔しかったら真似してみろ」と、読者の奮起を促すや切である。命(いのち)に感謝し、「自分は何のために生きるのか」が、一日を無為に過ごすか、意義あるものにするかにつながる。表題「人生の大事」とは何か、今一度自らに問いかけたい。

『高松木鶏クラブ 多田野 弘元顧問談(2024年1月)より』

企業