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Lifting your dreams
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Vol.117 60周年を迎えるにあたって

2008/07/01

今年(株)タダノは、創立60周年という節目を迎えます。
この日を迎えられるのも、ひとえにお客様、お取引先、社会の皆様...多くの方々のおかげだと思っています。名誉顧問の会社人生の中で、そういった方たちとの今でも印象に残る素晴らしい出会いはありますか?
質問者:㈱タダノ航海日誌 愛読社員

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60年前、我が社は資本金僅か50万円の零細企業だったが、現在規模にまで成長発展できたのは、時運と環境に恵まれた上、多くの人達に支えられてきた賜物であることは言うまでもない。中でも、発展の原動力となった経営理念を、揺るぎないものにしてくれたのは、ピ-タ-・F・ドラッカ-の著書に巡り会ったことである。これを抜きにして会社発展の歴史を語ることはできないほど大きな役割を果たしてくれている。もし、この書に出会わなかったら、今日の(株)タダノの姿は見られなかっただろうと思う。その経営理念を象徴した創造・奉仕・協力の社是が、どうして作られたかを分ってもらうことはこの際大いに意味がある。

それは今から51年前、社員僅か80名足らずの小さな町工場だった頃、私には、恥ずかしながら経営理念など持ち合わせていなかった。またその必要性すら感じてもいなかった。戦後の混乱の中で、日本全体が食べるのがヤットだったから、私は従業員ともども早い時期に、満足に食べられるようにしなければとしか頭になかった。

その頃、玩具のような油圧クレーンを初めて作ってみたが、予想外に評判が良くて、造っても造っても足りないようになった。急遽、人や設備を増やして対応してみたが、思うように捗らず、むしろ混乱するばかりだった。なぜうまくいかないのかを調べるため、経営書を紐解いてみたり、セミナ-で講演を聞きもしたが少しも役立たず、私の迷いが余計事態を悪化させていった。悩む日が続くとともに、自分の無力さ不甲斐なさを思い知らされた。

ふと、心の奥から「お前は一体何のために企業を経営しているのか」という声が聞こえてきた。だが、それに答えるなにものをも持っていないことに気が付き、愕然とした。ならば、企業は何のために経営すべきか、経営の目的はどうあるべきかを真剣に模索し始めた。そんな時偶然、ドラッカ-の書「現代の経営」に巡り会ったのである。開いてみると、私が求めてやまなかった経営に対する哲学が分りやすく述べられていた。それが一度にドスンと腹に入った。心の底から感動を覚えると共に、共鳴せずにはいられなかった。この理念で経営するならば恐れるものは何もない、その結果企業が潰れても悔いはないと思うほど惚れてしまった。

その内容とは、「利益は経営の目的ではない。経営の結果であって、その企業の社会的貢献度を示す尺度に過ぎない。経営の目的は社会に貢献奉仕するにある。故に、利益の生まれないのは、社会的貢献していないことを表している」とあった。さらに、「企業がもし、利益の最大追求を目的とするならば、その企業に関わる人たち(顧客、従業員、取引先など)はすべて、利益追求目的のための手段にされてしまうことになる。そのような企業が存続繁栄することはあり得ない」と述べている。

さらにドラッカ-は、「社会的貢献は社会的価値を創造することによる。即ち、付加価値を創ること、それが企業の主たる仕事である」と述べている。即ち、企業は社会貢献目的のために、手段として価値の創造をせよと言っているのだ。私はその意を戴し、我が社の経営の目的は、社会的価値を創造することによって、社会に貢献奉仕することである。そのために皆協力しようという、創造、奉仕、協力の三語を社是に制定した。

そうした経営理念は長い間に、誰も気づかないが次第に浸透して、それが企業文化となり、精神風土となって、人は成長し、企業発展の源となったのかと思われる。企業の大小を問わず、世界のどの企業にも通用する経営の哲学がわが社の体質となっていることを皆さんと共に誇りに思っている。また、私たちがこの世に社会貢献の使命を帯びて生まれてきたことを考えれば、企業の持つ使命と軌を一にしていることが分るとともに、人も企業もそのために存在を許され生かされていることをしみじみと感じさせる。

奉仕とは、理念やスローガンではない、私たちの日々の創造活動に現出されなければ何の意味もない。わが社ではこれまで、本業の他に多彩な奉仕活動をしてきた。イースター島のモアイ像の修復を始めとし、近くはアンコ-ルワット遺跡の修復、奈良県明日香村の国宝高松塚の修復など、世界的文化遺産の修復にわが社のクレ-ン及び技術を寄贈している。そのほか、各地の地震災害には、国内の阪神及び新潟地震はもとより、海外では、アルメニヤ・スマトラ・パキスタンの各地震の他、先月起きた四川大地震にも災害復興に要するクレ-ンをその都度寄贈している。

社員の奉仕活動も仕事の他に現れていて、その最大のものは、38年前から始めた献血運動がある。逐年参加者が増え、昨年は約4割の参加率を数え、献血数においても県下一の栄誉をもたらしているのは、いかに奉仕の精神が漲っているかを如実に示している。この実績は、おそらく日本中でも数少ない例ではないかと思う。私たちにとって喜びとともに大いなる誇りとなっている。60周年を迎えるに当たって思いつくままに述べたが、創造・奉仕・協力の意味は、私たち人生の生きる意味と少しも違わないと申し上げてお祝いの言葉としたい。

航海日誌