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Lifting your dreams
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Vol.34 奉仕の精神

1999/10/01

今月の質問者:佐伯 隆弘さん(営業統括部特販課)~入社2年目。ようやくはじめての一人暮らしにも慣れ、気持ちに余裕が持てるようになりました。でもなぜか金銭的にはまだまだ余裕はありません。

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私がタダノに入社を決めた理由の一つに明確に経営理念として「奉仕の精神」を揚げていたことがあります。現在、営業として先輩方のご指導の下、日々がんばっていますが、最近その「奉仕の精神」に疑問を感じています。

例えば、お客様が当社の商品を本当に欲しているけれどもお金が無くて困っているのであれば、「奉仕の精神」で金額を安くして売ればいいと思います。無償で差し上げればいいと思います。お客様がこんな商品を作ってくれないかと提案があれば、たとえ採算が合わなくても「奉仕の精神」で設計・製作してあげればいいと思います。しかし実際は違います。もしそんなことを続けていれば会社は潰れてしまうでしょう。会社が存続するためにはやはり「利益・儲け」を上げなければなりません。

「奉仕」の言葉の裏には「利益・儲け」が常に見え隠れしているのではないでしょうか。「利益・儲け」の本音を隠し、「奉仕の精神」をきれいごととして表面を繕っているのではないかと罪悪感さえ感じてしまうのです。そう考えると社会のためにお客様のために心から仕える「奉仕の精神」は理想にしかすぎないと思うのです。しかしタダノ創立時には「利益・儲け」そっちのけで私財を提供してでも、社会・お客様のために尽くしたとも聞きます。

今、当社もこれまでに経験したことない不況に直面していますが、創立時の経営理念「奉仕の精神」に再生・変革タダノの答えがあるような気もします。そこで名誉相談役に創立時のエピソードも交えて「奉仕の精神」の本当の意味と、「利益追求」との矛盾を説いて頂けたら幸いです。→当社の経営理念を見る


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多田野名誉相談役:よくぞ尋ねてくれました。あなたの質問内容は、単に当社社員に限らず、世の多くの社員や経営幹部の中にも持っている疑問ですから、その疑問を解く大変よい機会を与えてくれたと感謝しています。

まず「奉仕の精神」と「利益」とは矛盾するどころか、むしろ一致しなければ嘘だと思います。何故かといいますと、当社の経営の目的とする「奉仕」とは、社会に貢献すること、言葉を変えて言えば社会に有用な(役立つ)商品やサービスを提供することにあり、利益を追求することではありません。しかし、利益なしでは会社の存続できないのも事実です。

そこで問題は、利益とは何か、奉仕の精神と何故矛盾しないのかということであります。当社の考える「利益」とは、社会に提供した商品やサービスがどれほど社会的有用性があるか、その認められた社会的価値の大きさによって決まるのであり、あくまでも社会に対する貢献度によって、結果与えられるものであるとしています。ですから、利益を目的(儲ける為)に商品やサービスを提供するのは搾取であって、利益はあくまでも社会的貢献度を示す尺度に過ぎないのです。

言葉を変えて言えば、利益の生まれない企業は社会に対する貢献度がゼロ、つまり「奉仕」していないと言えます。松下幸之助氏も、利益の生まれない企業は社会的存在価値のない証拠だから潰れて当然ですと喝破しています。だから社会に貢献、奉仕することと利益は必ず一致することとなります。

「奉仕」と言いますが、会社は慈善事業とは違います。何故かと言えば、慈善事業は一万円はどこまでも一万円にしか通用しませんが、企業は一万円の物に付加価値をつける、新しい価値(社会的有用性)を創造するのが目的であり、社会貢献の意味では慈善事業と同じですが、内容大きく違います。

「奉仕」と言う言葉から、顧客の希望にすべて応えることと誤解しがちですが、商品やサービスをその社会的価値を無視して提供する事(例えば無償など)は社会的損失を助長する罪に等しいと思います。また、価値相応の代価を払わないで物やサービスを手に入れようとするのは詐欺行為で、それを助けた者は幇助の罪に問われるでしょう。

さらに、もし利益の最大追求を目的とするならば、顧客はもとより、その企業に拘わる人達はすべてその利益追求の為の手段にされ、犠牲となってしまいます。人間も、自己の利益のみを考えるエゴの強い人は、周りの人達を自利の為の手段として扱い、犠牲にして顧みないから、如何なる努力も報われることはありません。それとは違って、常に周囲の人達に役立つ存在の人は、必要不可欠の人として有用視され、それに相応しい地位や報酬が与えられます。つまり企業も人もエゴが少なく、奉仕の精神の多いほど、繁栄し成長することは疑う余地がありません。

以上のように、我が社の経営理念は何処に出しても恥ずかしくない、すばらしいものでありますから、どうか自信を持って仕事に打込んでください。もし、まだ理解し難い点があれば再度質問してください。

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