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Vol.53 人の名前 ~皐月の鯉の吹流し~

2001/05/07

今月の質問者:寺田 王彦さん(開発部)~苦手な寒い季節も終わって、ようやくアウトドアを楽しめる時期になってきました。仕事もそこそこに、海・山・川・空と、自然をじっくり堪能したい今日このごろです。

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人の名前というものは、親から授かって一生を共にする運命共同体。よく考えてみると一生どころか本人亡き後もなお、語り継がれ立派に生き続けています。

そうなれば当然、名前を付けるという一大イベントには気合いが入るもの。人それぞれ、両親からの想いの込められた名前が付けられています。ふと自分の周りを見渡してみると、名は体をあらわすのでしょうか、妙にその人と名前がしっくりと馴染んでいるように感じられます。

私が王彦(きみひこ)という名前でなかったら、今とは全く違う人間として全く違う境遇のなかで人生を歩んでいたかもしれない、実はもっと立派な人になっていたかも・・なんて色気を出してもはじまりませんが、1日に何度となく使うものですから、やはり多少の影響っていうものもあるような気がします。
(読み方が解からないとか、公彦・正彦・とどめに玉彦などという失礼極まりないダイレクトメールにもめげず、私なりに両親の想いを受け止めた人生を送れているとフォローしておきます。)

近頃は、以前と随分変わった名前も増えてきています。私の甥には、秀人・豪流(シュート・ゴール)君がいますが、初めて名前を聞いた時、返事の言葉を失ってしまいました。時代と共に人の名前も変化していっているのでしょうか。凝った名前、時代を反映した名前、あて字などもよく耳にします。

そこで質問ですが、御自分・御親族・御友人・あるいは過去に命名された名前など、人の名前というものに関するエピソード・想いがあればお聞かせ下さい。


ストレスに悩む人から脱出法を聞かれたが、私にはその経験がない。自分さえ思うようにならないのに、すべてを思い通りにしようとするからだろう。(多田野 弘)

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あなたの質問で、始めて人の名前について考えさせられた。確かに、人の名前はその人自身を表現する唯一の固有名詞として一生を通じて用いられる。しかも、没後も歴史に残るような人たちは、年月を経ても、なお多くの人にその名を語り継がれている。「虎は死して皮残し、人は死して名を残す」とのことわざのように、人々の記憶に残されている。

しかし、あなたのいう名前によって人生が影響を受けるとは思わない。単なる思い過ごしであって、上手くいかなかった時の言い訳にはなるだろうが、主体性に少し翳るように思う。

もともと、私たちは自分の生まれる時代と、自分を生んでくれた親、そして性別だけは選ぶことが出来ない。宿命であって変えることはできないが、それ以外は、運命さえも変えることが出来る。

「命を運ぶ」とあるように、自分の運命は自分が創っていくものと思う。したがって、自分が、自分の運命のプロデューサー兼主役にならなければならない。

その為には、日常、社会の一員としての役割を果たし、その存在価値を示すことによって、みんなからその名を呼ばれるようになるのではないか。いてもいなくてもいいような人は、誰もその名を呼ぶことはない。また、誰からもお呼びがないことぐらい生き甲斐が感じられないことはないだろう。

名前によってその人の人生が影響されるとは思わないが、誰もが幸運と不運があるという。たとえそれが偶発的であっても、幸運と思ったことが悪い結果を生む因となったり、不運がかえって良い結果をもたらす素になることが世間には少なくない。要は自分に起こったすべての出来事を、自分にとって必要だから与えられたのだと受け取って、真正面から取り組むことで幸運も不運もなくなり、すべてが良い結果を生むことになるのではないか。

また、常日頃誰からも忘れられているような人であっても、何か大事が起こった時、期せずして名前を呼ばれるような人でありたい。あなたも、人々から信頼され尊敬を受け、あなたがいなくては困るというような中身を備えた人になって欲しい。

名前はその中身につけたラベルに過ぎない。問題は名より人間の内容である。内容の空っぽの人に限って売名行為に走りたがるが、内容が充実していれば名前が何であろうと、黙していても人はその名を忘れることがない。だから、自分の名前が尊重されるには、自分の内容を充実する以外にないと言っても言い過ぎではない。

航海日誌