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Vol.52 思いを伝える ~うらうらの春到来。

2001/04/02

今月の質問者:鎌田 玲英子さん(開発管理部)~寝ることが、何より大好きなナマケモノ。

vol_52_img1.jpg

私は、自分の思いを他人に伝えるのが下手です。

「こう言えば、上手く伝わるかな?」と考えて言葉にしても、単に説明が長くなるだけで、何を言いたいのかが、結局伝わりません。ときには誤解をまねき、相手の気分を害してしまうこともあります。

思ったことを文章にするのは、更に下手です。

相手の表情を見て話をする場合は、「アッ。誤解されてる。」と気づき、表現を修正することが可能です。しかし、文章ではそうはいきません。文章は、それを見ただけで、相手に誤解無く伝わらなくてはいけないので、私にとってとても大変です。

大勢の方にお話なさったり、お手紙を書かれたりする経験を何度もされていると思います。誤解無く他人に思いを伝える為、どのようなことに気をつけていらっしゃいますか?

表現力が乏しく、この質問内容自体ご理解頂けたか不安ですが、ご回答よろしくお願い致します。


ここが俺の死に場所だと駆け廻ったペリリュー島(パラオ共和国)に訪れた。滑走路は60年前のままで、ついこの間のことのように思えた。(多田野 弘)

photo05.jpg

私もあなたと同様に、自分の思いを伝えるのがあまり上手くない。これまで話す機会は無数にあったが、一度として満足に話が出来た例がない。

しかし、それらの欠点をカバーするにはどうすればいいかを考えてきたことがある。私と似たような悩みを持つ方々に少しでも参考になればと思い述べてみる。

まず、話し手の思いを百パーセント伝えるには言葉だけでは不十分である。「こう言えば上手く伝わるかな」と考えて、更に言葉を付け加えるとか、「誤解されているのではないか」との気配りから、つぎつぎと説明を加えていくというのは誰にも良くあることだが、あなたの場合は少しばかり神経質になり過ぎているように思う。(間違っていたらゴメンナサイ。)

私の言ういい話し方というのは、いかに上手に話すかという方法論ではない。極論すると、うまく話そうと思わないことである。上手く話そうと思えば思うほど肩に力が入り、余分なことまで話すので、かえって焦点がボケて話を分からなくしてしまうからである。

どんなに言葉を労しようと、言葉だけでは思いの真実を伝えることはできない。むしろ、言葉にならない言葉、話す人と聞き手の間に心の通い合った状態を作り出すことに価値がある。詳しくは、Vol.48「人前で話すコツ」を参照願う。

いい話し方について細々述べたが、文章の作り方についてはあなたと同様に確たる自信がない。その証拠にこの原稿を作るのさえ苦しんでいるのが現実である。しかし、それが私の大変良い勉強にもなっているので、私が文を作る上でどんなことに注力しているかを述べてみる。

話す言葉はその場限りだが文章はいつまでも残るし、訂正が厄介である。そのうえ、話すことも文章も共にその人を現すと言われるように、どんなに飾っても隠しおおせるものではない。反面、その人の中身を表現するためには最良の手段にもなるから、大変やり甲斐のあることである。

私が文を作る上で特に気をつけている点を5つ紹介する。
1 何の為に書くのか、目的は何かをハッキリさせること。
2 その為には何を言わなければならないか、これだけはどうしても言っておきたいということを、拾い出して構想を練る。
3 それをできるだけ簡潔に、短く表現する。
4 できるだけ分かりやすい表現や、言いまわしにする。
5 出来あがった草稿を、時間を置いて読み返し、修正を加える。

まだ他にもあると思うが、我田引水のようで十分な答えになっていないことを寛容願う。人前で話すことも文を作ることも共に、積極的に挑戦し、場数を踏んで慣れることによって好結果を生むのは間違いない。

航海日誌