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Vol.94 奉仕する心

2004/11/05

今月の質問者:半山 貴史さん(コンポーネント事業部コンポーネントグループ)~最近少し野球ができるようになった息子2人と公園でいい汗かいてます。もっぱら打つのは息子達。投げてボールを取るのは私の役目。

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"世知辛い世の中"と言われますが、反面、台風や地震災害の報道を見ていると、ボランティアの人達の筆舌しがたい苦労と充実した行動に感動し、自分も何かしなければと思うことがあります。

日常生活の中でも、人の嫌うことを進んでできる人もいれば気が付かないふりを平然とできる人もいますよね(決して私も偉そうなことを言えないのですが)。

現在の私にできることは、骨髄バンク登録や献血程度ですが、これでも少しは充実感を覚えますが・・人にさりげなく奉仕できるやさしい心を持つには?

最高顧問のご経験からのアドバイスをお願いします。


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あなたは、「偉そうなことをいえないのですが...」と謙遜しているが、骨髄バンク登録や献血という立派な奉仕活動をされており、その謙虚な在り方に感心させられた。あなたには、すでに優しい心があることがよくわかる。だからこそ、もっと充実感がもてる奉仕はないかという今回の質問になったのだと思う。

私も奉仕する心とは一体どういうものなのか、漲る(みなぎる)ような充実感はどんな奉仕行為から得られるのかを知りたいと思う一人である。奉仕は、自発的でもっとも主体的な行為である。ただ自分の時間や労力を提供するだけでなく、自分の生命を捧げても悔いがないとする、最高の奉仕にいたったとき、それを「愛」の行為と呼んでいる。愛する対象が家族であり、隣人や社会、国家や地球に及ぶならば、奉仕の真髄をつかんだといえる。

つまり、奉仕の心には「愛」が根底にあり、また、私たちにこうした「愛」があるからこそ、この世は成り立っていくのではないかと思う。こうした奉仕の心、愛する心は私たちみんなが持っているのだが、それを素直に出せないでいる人が多いのも事実だろう。でしゃばっているのではないか、スタンドプレイだと思われはしないかと気後れしたり、自分のことで精一杯、他人のことなど構っちゃいられないということだろうか。

奉仕する、愛する心をもちながら、それを死蔵して他に与えようとしないのは、心の貧しい人である。愛する心は、与えれば与えるほど大きくなっていくのを知らないのだ。奉仕とは与えることであり、与えるということはその人が豊かであることの証である。たくさん持っていることが豊かなのではない。たくさん与えることが豊かなのだ。つまり、どんなにたくさん所有していても、一つでも失うことを恐れる人は、心が貧しいのである。

愛は、無条件であってこそ愛といえる。「期待に応えてくれるなら」という条件をつけること自体、すでに愛と呼べない行為である。また、自分自身をしっかり愛することができない人は、他人を愛することもできないのではないか。つまり、自分を十分に愛している人だけが持つ「心のゆとり」が、他人をも愛する原動力になるのである。

愛は、結果を求めないものである。愛という言葉を「奉仕」に置き換えても、少しも変わりは無い。愛することは、自分が生命力にあふれ、活き活きとしているのを実感できることであり、奉仕することは、与えるという行為が自分の生命力の発露となるのだ。

現在も多くの人々が苦しい生活を余儀なくされている中越地震。レスキュー隊の人たちなどは、職業ではあるが、非常に危険な作業であり、命がけの仕事に取り組まれている。また、休みを利用して現地で被災者の心身のケアにあたる若者や、サラリーマンの姿もみられ、あらためて、自分の一番大切なもの、生命さえもかけて与えるという精神の気高さ、尊さを思い知った。

奉仕とはいえないが、私は献血を25年間続けた。自分の血が困っている人の役に立っていることや、健康体であることを証明できる喜びを、その都度感じることができた。また、戦争にいき愛する家族、国家のため、自分の命をささげても惜しくないと決心したときの崇高な気持ちを、今でも忘れることができない。

人は、どれだけ社会に貢献奉仕できたかによって、その人の存在価値、必要性が決まるといっても良い。それは、見返りを期待せずに働く行為であって、そうした働きはとりもなおさず人間の生命力の表現である。つまり、奉仕することは、人間の基本的な生き方に通じるといえる。

企業も同様で、価値を創造することによって社会に奉仕することに意味があり、その貢献度によって存在理由が示される。わが社の社是である『創造、奉仕、協力』は、人間も企業も基本に"奉仕の心"がなければならないという、創業者の想いを表しているのだ。

航海日誌