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Vol.100 「生きるために大切なこと」

2005/06/01

「航海日誌」は掲載100回目を迎えました。
長らくのあいだご愛読くださり、またご感想、励ましのメールをお寄せくださり、多田野弘、編集スタッフ共々心より感謝申し上げます。どうもありがとうございました。

今月の質問者:小野 久裕さん(企画管理部経営管理G)~「物心ついてから多田野鉄工所に就職するまで」と「就職してから今日まで」がほぼ等しくなりました。そしてもうすぐ「天命を知る歳」を迎えます。

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私は6月で満50歳を迎え、9月には父親の25回忌を営みます。これは有難い事です。現在では人生80年といいますが、父親は満60歳で死亡しましたから、あと残り10年。

今年22歳になる長女が中学2年生の時、私に質問しました。『人間は何のために生きているの?』(暫しの沈黙)『よく考えてみろ!』と、私は相手にしませんでした。本当は、私の頭の中には明解な回答を持ち合わせず、長女の質問に戸惑ってしまったのです。今考えても大変恥ずかしい限りです。

最近、長女の宿題への回答を思いつきました。私の命が残りわずかと言われたならば迷わず教えたい事がある。『人間はこの世に必要だから生まれてきたんだ』、更に『あなたがこの世の中でやらなければならない事は必ずある』と。二人の娘達が20歳の誕生日を迎えた後、私たち夫婦は『子供たちを長い間ありがとうございました。今日から神様にお返しいたします』と心に決めました。

100回目という記念すべき時に、最高顧問にお尋ねしたい事があります。このように十数年ものながきに渡り、回答を探し続けた私や、もっと若い人たちに、生きるために大切にされていること、これだけは次の世代に受け継いでほしいというアドバイスがありましたら、お教えいただきますれば幸せです。


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あなたの質問「生きるために大切なアドバイス」として何があるかを考えてみたが、文面によれば、あなたの長女に対する回答の内容からも、すでにアドバイスの要点を掴んでいるように推量され、私の根底にあるものと同じであることが感じられた。

私たちは皆、気がついたら生まれていた。だから、何のために生まれたかを知らない。目的をもって生まれた人は、世界中に一人もいないのだ。だから、目的を持っていなかったことを恥じる必要は無い。

しかし、それを考えないでいることのほうが恥であり、悲しむべきことである。このことこそが人生究極の課題であって、他から教えられるものではない。また、模倣するものでもない。自ら探求し、考え抜いた中から見つけ出すものである。

何故かといえば、私たちが生まれるには、両親が準備してくれた"身体"という生命の容器の中に、神様が準備してくれた"生命"が宿って初めてこの世に生み出されたと考えている。すなわち、私たちの生命は、宇宙の意志というか、大自然の生命力というか、現代の科学をもってもうかがい知ることの出来ない偉大なる意志(私たちは神ともいい、天ともいう)によって授けられた『預かり物』であるとしか言いようがないのである。

私たちの生命は、自分のものではない、預かり物だと言う証拠は、預け主から何時返却を求められても、否応なく直ちに応じなければならないのは勿論のこと、一刻も猶予してくれないことにある。さらに言えば、私たちは生命を与えられただけでなく、その生命によって生かされているのである。私たちは毎日食べて働いて眠り、呼吸し汗をかき、血液が体中をくまなくめぐっていることに何の不思議も感じていないが、とんでもない思い違いである。実は、自分の力で生きているのでなく、生かされていることに気付いていないのだ。

多くの人たち、若者たちが「何のために生きるのか」を迷い悩んでいるとしたら、私たちは自分の力で生きているのでなく、預かった生命によって活かされていることに気づいて欲しい。そこから、この預かった貴重な生命を最大限に活かす以外にないという思いが、自ずと湧いてくるではないか。この生命のもつ自分の資質天分は、他に役立つことによってしか活かされないのだ。生命を活かすとは、「生きる意味」に気付くことによって人生の目的が決まり、そこから不撓不屈の意志が創られ、素晴らしい人生を形成することである。

航海日誌100回の記念すべき時に、このようなすばらしいテーマを与えられたことに感謝している。毎回の質問も、夫々が抱えた疑問点が率直に表れた深い内容を含んでおり、いつも考えさせられ、悩まされてきた。しかし考えることで、私の頭の中が整理され、かえって質問者から教えられてきたように思う。またその都度、貧弱な表現力ではあるが、精一杯答えてきたことに満足している。

まもなく私は85歳を迎えるが、老化防止のためにも、今後も"質問"を頂戴できれば、この上ない幸せだ。


「航海日誌」は、リニューアルのため、しばらく掲載をお休みさせていただきます。
掲載予定は、株式会社タダノのホームページのトピックスでお知らせさせていただきます。【編】

航海日誌