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Vol.106 "なんとなく"の効用

2006/09/01

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私たちの毎日の行動を眺めてみると、"なんとなく"過ごす状態の時が多くあるが、大きく分けて二通りあるように思う。一つははっきりとした目的意識が無いため、何事にも無気力、無関心のまま"なんとなく"時が過ぎていくが、少しも意に介さない人たち。今ひとつは、目的意識がハッキリしていて、その行動は特に意を用いなくても目的に添っていて、苦行のようなことも"なんとなく"続けられる人たち。

この二通りの"なんとなく"には、意識や思考が働いていないという点が同じである。意識が働かないのに行動をもたらすのは、「潜在意識」が働いているからである。「はっと気づく」とか「目から鱗が落ちる」「ピンときた」「虫が知らす」なども潜在意識からの発信である。この「潜在意識」に気づくことによって、人は生き方が変わると言っても過言ではない。

私たちが普通"心"だと思っているものの中には、合理性に基づく「表層意識」と、精神性に基づく「潜在意識」とがあり、表層意識の働く割合は、意識全体の2割程度に過ぎず、あとの8割は理性や知覚で推し量れない潜在意識が働いていると言われているが、私たちは普段"理性"を働かせて物事を処理し、それがあたかも絶対であるかのように思って生きている。

だから、それが邪魔をして、潜在意識は制約されたままになっている。つまり、私たちの潜在意識は強大なパワーをもっており、その意識下にある「潜在能力」は大きな働きをするにも関わらず、意識できないためあまり重視されていないのだ。

また、人のタイプには「マイナス思考」する人と「プラス思考」する人があるが、前者の潜在意識は、目標に向かっていこうとする表層意識の足を引っ張るという形で姿をあらわすが、後者の潜在意識は、自分が思った以上に物事がうまく運ぶような運勢を呼び寄せる働きをする。

つまり、プラス思考によって形成された潜在意識は、その中に統一された明確な価値観が知らぬ間に蓄積されており、苦痛さえも快楽に変えることができ、身辺に起きるすべての出来事は、たとえどんなに過酷であっても、必要だから与えられたのだ、あらゆる障害はチャンスであり、問題点はアイデアの生まれる源泉だと考え、状況の厳しさは好転の動機付けであると受け取ることができる。そこから「ひらめき」や「斬新なアイデア」が生まれ、心にひらめいたものだけが創造につながるのである。だから、潜在意識が「否定的」なものか、「肯定的」なものかが重要な問題となる。

潜在意識が形成される要因は、主として体験が土台となっている。喜びや悲しみ、成功や失敗の体験が加わって形成される。しかし、いったん形成された潜在意識は、絶対不動のものではない。"人間が変わる"というのは、実は潜在意識が否定的思考から肯定的思考に変わることである。

多くの人は、すべての原因は自分のほかにあると考えている間は幸せになれず、成功も無いということを知っているが、ただそれを頭で「分かっている」や「知っている」だけで(=理性の領域)、心の底から気づいているのではない。気づいていないから考えも変わらないし、行動も変わらず、生き方も変わることがない。

このように、潜在意識に気づくことは、とても大きく深い意味を含んでいて、その気づきは、人が悩みぬき、挫折、絶望により、理性が見放された時に得られる。私は戦時中、沈むのが決まっている船に乗るとき、自分の死が必然であることに悩み、逃れられない死に絶望して天を仰いだ時、満足のいく死に方を教えてくれたのが、潜在意識からの"ひらめき"だった。

表層意識は、夜眠っているときは働かないが、潜在意識は夜も働いている。人は"なんとなく"の状態の内に秘められた「プラス思考の潜在意識」に気づくことによって、無限の知性を自分のものにすることができるのである。

航海日誌