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Vol.11 働くことを喜ぶ

1997/11/01

今年も勤労感謝の日がやってきた。この日は、かつて新嘗祭と称して、その年の米の豊作を祝い、感謝する日とされていた。日本は古来、稲作民族として栄えてきたことに起因するものと思われるが、同時に勤労を尊ぶ習慣が、私たちの血の中に伝えられてきたものと思う。だから勤労を尊び感謝することに少しも疑いをもっていないが、最近の風潮として働くことに感謝の気持ちが少しも湧かない輩が増えてきているのはとても悲しい。

このような人種は働くことが苦痛なのかもしれないが、おそらく生涯不幸から逃れることはできないだろう。なぜ働くことが苦痛となるのだろうか。それは、働くことを何かの為の手段と考えるからである。つまり働くことを報酬を得る為にやむをえずとる手段と考えるところから、期せずして人間の尊厳が損なわれ、苦痛が生まれるのである。

しかし、働くと言うことは本来私たちの生命の発露であり、生命を機能させることにある。だから私たちの働きは、何ものにも交換することのできない尊い働きでなければならない。その尊い働きを何かと交換しようと考えるとき、心が痛むのは当然のことである。働くということは、このように人間にとって深い意味をもっていることに気づかねばならない。それは、私たちが生きていくのに、休息(睡眠を含む)が必要不可欠であるのと同様に、人間にとってなくてはならない自然の営みなのである。

また、働くということは人間の持つ機能を果たすことであり、持てる資質天分を生かすことでもある。その資質天分は他に役立つことによってのみ生かされ、認められ、そして頼りにされ、なくてはならぬ存在となる。また、その存在価値に相応しい地位や報酬が結果として与えられるのである。これが、ひいては自己実現の喜びとなり、同時に私たちの生きがいの根源となるのである。

働くことを喜べる人には、きっと生涯の幸せが約束されるだろう。

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