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Lifting your dreams
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Vol.119 嫌いな季節の過ごし方

2008/11/04

最近ニュースで、"9月病"という言葉を耳にしました。2人の首相が偶然の一致か9月に辞意を表明したことと関連して、とりあげられていました。ストレスの多い社会環境に加え、夏から秋という季節の変わり目の急激な温度変化に体がついていけず、無力感、疲労感、頭痛、うつ症状などが表れるというものです。
うら寂しい秋よりは華やいだ春、寒くて日が短い冬よりは暑くても日が長く活動しやすい夏が好きな自身としては、これからの厳しい季節のことを考えると、9月病にも似た不調を感じ、気持ちが滅入ります。
名誉顧問は、四季の中で、どの季節が一番苦手ですか?また、嫌いな季節を乗り切る自分なりの対処法はお持ちですか?

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季節の好き嫌いは誰にもあるが、概して肥り気味の人は夏を嫌い、細身の人は冬を嫌う傾向がある。私には季節に好き嫌いが殆どなく、四季夫々を楽しく過ごしている。なぜそんな恍けたことが言えるのかといえば。戦時中、私は2年余り赤道近くの島に居たことがある。皆も知ってのとおり、一年中が真夏の気候である。元日だというのに、気温は30度を越えているので、どう考えても正月気分になれなかったのを覚えている。そんなこともあって、いつの間にか四季の感覚を忘れてしまっていた。

戦いに明け暮れる毎日は、明日の我が身がどうなるか全く予測できないのが常であった。自分の最後を知る術もないことから、今日が何日かを知る必要がなかった。やがて長く続いた戦いが終わり、月日を覚えていない季節のない国から、四季があり、未来を語れる祖国日本へ帰ってきた。始めて、日本国に生まれたことの有り難さを身にしみて感じた。この体験が四季の好き嫌いをなくしてくれたのかと思う。日本の四季は素晴らしい。夏の暑さも冬の寒さも共に有り難く、私にとって好季節なのである。南の島に比して、日本の夏は天国のように感じられ、ヨットで一日中炎天下に身を曝しても、少しも苦痛を感じないから不思議である。

冬の寒さも私にとっては有り難いものとなっている。私は40才の頃、アラ-ムなしの早朝起床とジョギングを始めたのが今でも続いているが、加えて庭のプールで泳ぐのを日課にしている。雨も風も中止に理由にならないから年中無休である。真冬のプ-ルの水は肌を刺すように冷たいが、やり終えた後の勝利感は言葉にならない喜びがある。雪の降る日はまた格別である。正月に海で泳ぐことを始めて30年近く続いている。何れも、やり終えた後の爽快感と自分に対する自信を得た喜びが大きい。

私が夏も冬も厳しい環境に身を呈することによって、心身が鍛えられ僅かながら成長していける喜びは何にも換えることができない。もし、四季がなく春の陽気だけが続いたならば、人間は皆ボケてしまって、ものの役に立たなくなるだろう。夏は暑いから、冬は寒いから価値がある。この貴重な寒暑の自然のエネルギ-を、私たちの成長のために利用しない手はない。

ここまで述べても、おそらく「馬の耳に念仏」としか映らないだろう。体験のない知識は空論に過ぎない。私のような考えを自分のものにするには、頭で考えて理解するのでなく、ハッと気がつくこと、目から鱗が落ちる感じで、自分の持っていた考えと全く違った考えに変わることである。では、暑さ寒さを、感謝する考え方になるにはどうすればいいか。

夏が暑く冬が寒いのは自然現象で当たり前のことである。また、私たちが生きていることも当たり前、この当たり前のことに感謝する気持ちが起こると、暑さ寒さが苦にならなくなり、生きることの喜びの感謝が沸き起こるのではないだろうか。誰もが、自分は誰の援助も受けず、自力で働き生活し、生きられていると思っている。しかし、私たちが働く原動力となっている、心臓や肺は果たして自分が動かしているだろうか。

私たちが眠っている間意識がないのに、体は一刻も休まず動いてくれているが、誰が動かしているのだろうか。医学上では、自律神経であり脳幹だというが、その脳幹を動かしているのが何かは未だに分かっていない。でも動いているということは、私たちの人智の及ばない、目に見えない大きな力によって動かされているとしか言いようがないのである。自分が動かしていないその証拠は、それが止まりそうになったとき、再起動できないのをみても分る。これらのことから、私たちは自力で生きているのではなく、生かされていることを認めないわけにはいかない。

自然現象の暑さ寒さも、人智の及ばぬ大いなるものが準備した、私達を育むための配慮であると受け取るならば、感謝せずにはいられないだろう。暑さ寒さがあるからこそ、私たち人間は抵抗力が作られ、健康で長く生きられるのだ。自分が生かされていることが胎に入ると、雨も風はもとより厚さも寒さも、当たり前のこと凡てを感謝して受け取れるようになる。

私には凡ての季節が好きなので、期待に添えなかったことを了とされたい。

航海日誌