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Lifting your dreams
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Vol.125 「一年の計は元旦にあり」

2010/01/15

「一年の計は元旦にあり」
月並みな言葉ですが、充実した一年を送るための金言だと思います。しかし「一年の計」はともすれば計画倒れ・三日坊主で終わってしまいがちです。最高顧問は毎年どのような年末年始を過ごし、新たな年をどのような気持ちで迎えられるのでしょうか? 一年の計はどのように実行なさっているのでしょうか?ぜひアドバイスをいただければと思います。
(質問者:航海日誌愛読者)

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私が日々心がけていることは「毎日を元旦の気持ちで過ごすこと」である。私には先がない、だから一年もの長い間でなく今日一日でいいから、充実した、自分でこれ以上の生き方はないと言えるものにすることである。明くる日もまた、今日一日精一杯に生きよう、一日だけなら真剣に力いっぱい生きられる。つまり、いつ死んでもいいように生きることである。この考え方を、もし若いときに持つことができたなら、素晴らしい人生を獲得できるだろう。

66年前、南の戦場で敗色を身近に感じた私は「いずれ近いうちに自分の命も終わるのは間違いない。どっちみち死ぬのなら、潔く死のう」と考えた。そのためにはどんな死に方がよいのか、それは前から撃たれて死ぬことだと。進んで死地に飛び込んでいける腹ができ、もういつ自分の命が終わっても惜しくない境地を会得することができた。そのとき以来、私は「殺される受身の存在」から「自分の死を主体的に支配する存在」となったのである。

ところが、何度か生死の境を彷徨したその度に奇跡的に生きてきた。とっくに死んでいるはずの私が生きているのが不思議に思え「これはきっと天の配剤によって生かされたのだ」としか考えられなかった。以来、この与えられた命を最大限に活かすことが、天恩に報いる私に残された使命であると思った。命を最大限に活かすとは、自分の生来の資質・天分を発揮して他に役立つことである。即ち自分の命は社会に貢献奉仕するために残されているのだと自分に言い聞かせてきた。まもなく90歳を迎える今日、余命がわずかであることは、かつての戦場と少しも変わらない。

「あなたは戦争体験があり、老い先短いのでそんな心境になれるのだろうが、私たちはまだ若いし、戦争体験などないからとても無理だ」と言う人がいるかもしれない。だが、体験や年齢に関係なく、誰でもその境地を手に入れられる。人は生まれたその日から死に向かって生きているのである。しかも「その命数の長短を知ることができない」ということは、私が戦場にいたときや老年であることと、条件は少しも違わない。人生を真剣に考える人なら誰でもこうした心境になれると分かるだろう。

私は毎年正月に、普段の日と少し違ったことをしてきた。元日には庵治、三日には大的場の海辺で泳ぐことを決めて、庵治は41年間、大的場で27年間続けてきた。正月のこの行事を無事消化するには、それをこなすだけの心身の備えが必要となる。そのために毎朝アラ-ムなしの5時起床を決めた。他からの指示がなければ起きられないようでは、何を発心しても駄目だと自分に言い聞かせた。起床後、30分ジョギング(今はウォ-キング)の後、庭に作ったプ-ルで泳ぐのを日課とした。我ながらよくぞ続いたと褒めてやりたい。

雨の日も風の日も、どんなに冷たくても休む理由にはならないから年中無休である。冬の海はプ-ルの水より温かく、正月の海に入るのが少しも苦にならないのは勿論、やり終えた後の達成感は喜びとともに、可能性と大きな自信をもたらしてくれる。私のこうした行動の規範となっているのは、自分の主人は自分自身であり、毎日の自分の行動の選択が人生をつくってくれるという考えが中心となっている。たとえその選択が思わしくない結果をもたらしても、招いたのは自分である。結果は自分にとって必要だから与えられたのだと受け取ることによって、マイナスをプラスに転換できるのである。

これは意志の問題ではなく、誰にもできる「習慣化」に過ぎない。私もこうした習慣を年相応に変えなくてはと思うのだが、意志が弱いからそのまま続けている。では「習慣化」とはどういうことだろうか。私たちが起床後、洗面せずに朝食が始まらないように、日常生活の中に組み込んでリズム化することである。アラ-ムなしの早朝起床も難しいと思うだろうが、愉しい旅行や嬉しい行事がある日の朝は誰だって起こされなくても目覚めが早い。目的意識が明確なら、心の奥の潜在意識が目覚ましてくれる。昔の人が時計なしに早起きができたのはなぜか?を考えてみるとよい。

良い習慣を作るには、第一に「自分の人生を何のために費やすのか」という目的がなければならない。生きる目的があって初めて「生きがい」が生まれ、強い意志力の源となる。目的が明確になれば目的に沿った目標が決まり、目標が決まればそれに向かって行為が始まる。強い意志力はその行為の継続を容易にし、知らぬ間に習慣を作ってくれる。習慣は自然の振る舞いとなり、期せずして人格を形成する。人格は運命を呼び寄せ、運命は人生を創造することになる。このような充実した人生は、充実した習慣の延長線上にあると言って間違いない。

航海日誌