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Lifting your dreams
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Vol.163 成功の要諦

2015/09/01

いくら歳をとっても、やれるもんだよ。(多田野 弘)

成功の要諦とは、「目的を達成するための要点」は何かを問うている。「成功」とは、目的を成し遂げることであり、私たちにとって大変魅力的な、憧憬の気持ちを抱かせる言葉である。身近な成功例として考えられるのは、難関の大学受験に合格するとか、競技に優勝する、立身出世、社会的地位や財を得ることなどがある。

このような身近な目的でも、達成するのは容易なことではない。 多くの障害や失敗の危険を乗り越えて、始めて手中にできることである。 その苦難を耐え抜くには、堅忍不抜、不撓不屈(ふとうふくつ)の強い意志が必要となるが、 強い意志はどうしたら作れるのだろうか。また、目的如何によって、 意志の強さが大きく違ってくるのはなぜなのか。

大学受験に合格したり、優勝するといった、単に自分の合格や優勝のみを願う目的は、 他の誰かを不合格にし、優勝を逃がさせることになる。このような、他を貶めるような目的では、 意欲は作れるが、強い意志が生まれることはない。 また、立身出世や財の獲得などの利己心から生まれた目的に対して、 不撓不屈の意志など生まれようはずがない。

それに反して、世の中や人のために役立つ目的は、命から湧き出る意志となって、 限りない強さを発揮するのである。社会貢献というのは言い古された言葉であるが、 いいかえると、自分を社会に必要不可欠な存在にすることであり、 あなたがいなくては困ると、云われるような人間に自分を仕立てあげることである。

強い意志は、忍耐力を養い、克己心を生む。克己心は、自分を支配しながら、 自分を作り変え創造し、自己を完成させる働きをする。と同時に、苦難や障害は、 自分を成長進歩させる絶好の機会と受け止められるようになり、 苦難は即、快楽の境地を手中にする。五官では苦とする、 断食さえも快楽と受け取れるようになる。修行中の僧が、難行苦行を続けられるのも、魂の快楽があるからだ。

その快楽は魂の喜びであり、ひとりでに繰り返されて、習慣を作りあげる。 習慣は期せずして、自分自身に対する大きな自信を生み、度胸が据わってきて、 些事にとらわれず、物事の本質を見抜けるようになる。その積み重ねから、 次第にその人の価値観を形成し、精神的なバックボーンとなる。価値観は人生観となって、 自分の生き方を決定的なものにする。したがって、 ものごとの重要度、緊急度などを即断できるようになり、決断も行動も素早くなる。

また、強い意志から生まれる克己心は、自分を支配するとともに、 常に自分を客観視することから、直感が鋭くなり、創造的なひらめき、天啓を受けることが多い。 同時に、自らをコントロールできることから、耐えること、許すことが容易くなり、 次第に謙虚な人格が築かれていく。えてして私たちは傲慢になりがちであり、それを自覚できないでいる。 謙虚な人はむしろ、自分が傲慢であるのを常に自覚している。 謙虚さは、誰もが望む美徳だが、努力して作れるものではなく、克己心を身に付けた人の、 日常のふるまいから滲み出てくるものである。

もっともらしいことを臆面もなく述べたが、それは、私の過去のささやかな体験に基づいている。 その一つは、昭和19年10月フィリピンにおいて、自分と変わらぬ若いパイロットが、 国の危急を救うために「特攻」として、次々に死地に向かって出撃して行った。 彼らの顔は、あたかも神の化身のようにりりしく輝いて見え、 「俺も続いてフィリピンの土になるぞ」と自分の死をも誇らしく思えた。 その時、命より大切なものが私に示された。

もう一つは、私の早朝のジョギングとプールでの泳ぎ、元旦の海での寒中水泳を苦行と受け止めず、 私を成長進歩させてくれる最高の教師なのだと思い、40年余続けられたことである。苦難は即、 快楽の境地を日課として、習慣化した。

要するに、利己的な目的は心から生じて、その意志は弱く、利己を超越した目的は魂から発せられ、 その意志は命をかけた強さを持つ。強い意志から生まれた克己心は、 習慣をつくり、謙虚な人格を築き、悔いのない生涯は生きた証(自らの命の目的)をもたらしてくれる。 これこそが成功の要諦と云えるのではないか。

『高松木鶏クラブ 多田野 弘顧問談(2015年3月)より』

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