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Vol.27 子育てのポリシー

1999/03/01

今月の質問者:久米川 速水さん(人事部人事課)~本社に赴任して約1年。ようやく座っての仕事にも慣れましたが、最近ダブつき気味なので、今年はナイスバディを目指して、エアロビクスに挑戦します。

vol_27_img1.jpg現在3歳の子持ちです。子供に対していつもこちらの都合で叱ってしまい反省ばかりです。名誉相談役の子育てに関して思うところ、ポリシー、こだわりを教えてください。更に、振り返ってこうしとけばよかった等の経験があればお聞かせください。


多田野名誉相談役:2月の海はヨットに不向き、週末は専ら古い映画のビデオ鑑賞。「アラビアのロレンス」「哀愁」「カサブランカ」「旅情」「モロッコ」全部良かった。

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子供を持つ親は皆、あなたと同じ問題を抱えています。私も遅まきながらそのことで考えさせられ、貴重な体験も得ました。結論から言いますと子供の教育は、画一的な知識や方法論でその奥義を掴むことはできない奥の深いもので、親がそれについて自らを反省し、子供との日常の生活を通して、心と心の触れ合う中から得た知恵の積み重ねではないでしょうか。

と、大変偉そうなことを言いましたが、子供の教育ほど難しいものはないのではないですか。親自身さえ自分を思うようにできないでいて、どうして子供を思うように教育できるでしょうか。恥ずかしながら私のことを申しますと、末っ子が中学進学の頃まで、子供の教育について考えたことがなかったのです。言い訳にはなりませんが、もう仕事一辺倒で、家庭を顧みる余裕など少しも有りませんでした。それがある時中学のPTA会長に推されたことが契機となり、教育とは何かを考えさせられる羽目になりました。そこで、子供の教育には家庭教育が大変重要な役割を占めていることを知りました。同時に、それを怠っていたことを恥じ、果たして自分に子供を教育する資格があるのかと考えたのです。

子供は親の背中を見て育つと言いますが、子供は、親の考え方、生き方を教えないでも真似するものです。そこで私は、自分の家庭での一挙手一投足が子供への無言の教育であり、父親の私にとって家庭は唯一の休息の場であると同時に、子供の教育の道場でなければならないと考えました。それ以来、子供にこうあって欲しいと思うことを、言葉でなく、私自身の行動で示すことによって気づかせるようにしてきました。そして子供が自主的になり、自分の目標を持ち、人から言われなくても進んで行動する人間になることを願いました。

それまではしたこともなかった親子の間の挨拶をまず私から始め、次に履き物を揃えることを率先してやりました。続いて食事の前後の合掌も私を真似て家族全員がするようになりました。また、子供を丈夫に育てる為に医者と薬を敬遠し、風邪や腹痛などは備わっている自癒力で治しました。ですから、子供は一度も医者に見てもらったことがなく、家にはいまだに体温計がありません。(体温計で何度はかっても熱は一度も下がらないから不必要)もし医者や薬に頼れば、親の安心と引き換えに子供の免疫力を失わせ、弱い体質を作らせることになるからです。

今一つ心がけたことは、質素に育てることでした。テレビが出始めた頃、我が家は一番付けるのが遅かった。また、子供を塾に通わせたり、家庭教師につけることをしなかった。子供の競争力に金の力でにハンデイをつけるのはアンフェアであると考え、あくまでも本人の実力でやらせることにしました。大学入試の時、担任教師から滑り止めに私学受験を薦められたのも断り、浪人も人生勉強になると退路を断ち切って励ましてやりました。就職も親の力を借りるのは本人の為にならぬから一切ノータッチ等、事例はいくらもありますが、結局子供の教育は、親自身が自らを教育し、姿勢を正すことであって、親の背中を見て気付いてくれるまでの気の遠くなるような親の生きざまといえるでしょう。

至れり尽くせりの環境は子供をダメにしてしまいます、安易な道よりも困難な道を進ませるほうが進歩成長させてくれます。だから、人間の成長にとって逆境は必要なのです。真の親の愛は、可愛がることにあるのではなく、厳しくすることによって、強く正しい人間に育て上げることであります。

幼児の教育とだいぶかけ離れた答えになりましたが許してください。

航海日誌