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Vol.69 故郷の魅力 ~台風後の打ち上げ花火

2002/09/01

今月の質問者:中原 伸泰さん(西日本支社九州ブロック南九州営業所)~この顔写真、視線が合ってないようですがデジカメで自分で撮った為です。決して不機嫌でそっぽ向いたわけではありませんので、悪しからず。

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今年の7月で、私が宮崎県に配属になってから5年が過ぎました。

宮崎は自然豊かな土地で、中でも雄大な太平洋の波に洗われて現出した「鬼の洗濯板」と呼ばれる波状岩の海岸を見ていると、趣は随分違えども、我が故郷愛媛の美しい瀬戸内海の景色が恋しくなります。

ところで、今まで私が接した香川県出身者の多くは、郷土愛に溢れ、いずれは故郷に帰りたいと言う人ばかりなのですが、最高顧問が心より感じる香川の魅力とはどんなところでしょうか?


「不況が長引いていやだなぁ」という人が多いが、「不況が続いてありがたい」という人もいる。なぜか。企業の優劣を決めてくれ、体質改善に最適のチャンスだという。(多田野 弘)

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故郷というのは文句なしにいいものである。しかし、残念ながらその素晴らしい故郷の魅力を、私の文学的素養では到底表現し尽くすことはできない。私のように故郷に住んでいる人にも、故郷を離れ生活している人にも、故郷の魅力を心で感じていても、故郷との繋がりを言葉で表現することは難しいのではないかと思う。

なぜならば、正月やお盆に、すし詰めの新幹線や何十キロもの車の渋滞をものともせず、故郷に帰省する光景を目にするが、あのすさまじいエネルギーはどこから出てくるのだろうか。単に帰巣本能と言うだけで片付けられない、故郷の魅力の強大さ、奥深さを改めて考えさせられるのである。

あなたが、愛媛の美しい瀬戸の海を恋しく思うと同様に、私も故郷香川をこよなく愛している。特に両県が面する瀬戸内海は、世界に誇るエーゲ海にも勝ると、海外から訪れた人たちの賞賛の声がある程である。

私は長らくヨットに親しんでおり、週末には必ず海に出てセイリングを楽しんでいる。連休には宇和海や佐伯あたりまで足を伸ばしたこともあるが、海から見る陸岸の景色に大きな違いがあることに気づいた。豊後水道を南下すると途端に波は大きくなり、その波に削られた岩肌はどす黒く、荒荒しく海に突き出ており、ヨットは木の葉の様に揺さぶられ、終始舵輪を握り締めていたことを覚えている。帰途、瀬戸内海に入ってくると、忘れた様に波は静まりどちらを向いても島と陸とに囲まれ、外海への出口を見つけることができない。岩肌はライトブラウンに打って変わり、海面近くまで緑が覆い被さり、島々の形はなだらかな曲線を描いており、あたかも大きな懐に抱かれているような安らぎを覚えるのである。

あなたのいる宮崎は、私の懐かしい想いでの地である。昭和20年1月、フィリピン島から数少ない空輸便を得て日本に帰り、着任したのが都城航空基地であった。続いて富高、宮崎の各航空基地で終戦まで勤務したが、町の人たちから大変親切にしていただき、特に娘さん達からの南国特有の情熱的アプローチにはたじたじとなったものである。いま考えるとMMKの所為だったのかもしれない。また、宮崎基地では、米軍機来襲の際、不覚にも負傷し、別府海軍病院に担ぎ込まれたことも昨日のように覚えている。(MMKとは海軍用語で「持てて持てて困る」の隠語)

宮崎が懐かしいといっても、私にとって故郷香川は、いつも温かく迎えてくれる心休まる安住の地である。これまで世界の多くの国々を見てきたが、やはり日本はいい国であることを再確認せずにはおれない。母国日本に生を受け、故郷を香川に持つことに、限りない愛着を感じ、誇りに思っている。

航海日誌