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Vol.71 安値志向について

2002/11/01

今月の質問者:赤野 浩司さん(中日本支社北陸ブロック)~入社以来10kgほど太ってしまい、最近、土日限定のランナーになっています。おかげで4kgほど減量に成功しました。今後も続けていこうと思ってます・・。

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最近、低価格を売りにした商品・サービスが市場に出まわっています。具体的な店をあげるとユニクロ、吉野家の牛丼、百円ショップのダイソー、また、大手スーパーでは独自のブランドを立ち上げ低価格を売りにした商品が数多く見うけられます。その他、理髪店、酒類のディスカウント店、ドラッグストアなど、考えてみると、あらゆる店舗があるように思えます。

消費者はその安さに目を引かれ、店舗はいつもにぎわっているように思います。品質が少々悪くてもそれなりの品質であれば、「価格が安いから、、」という部分で消費者が納得しているのだと思います。

私も特にオシャレには興味がないので、散髪はいつ1,500円程度で行える散髪店に行っています。それまでは4,000円近く出して散髪に行っていましたが、1回行き出すと、半額以下という魅力から、他の店にはもう行けません。

私も利用者の1人ですが、そういった店舗が増え続ける限り、日本の不景気、デフレが続くように思えてなりません。そうした店舗がその要因のすべてだとは思いませんが、あらゆるモノに対する消費者の安値志向が以前にも増して、高まっているように思います。当社も全く違う業界ではありますが、消費者の安値志向が高まっているこの時代、同じことが言えるような気がします。

多田野最高顧問はこの安値志向が高まっている世の中をどう思われますか?また、前述したような安値を売りにした店をご利用されたことはございますか?


毎月よくもこのような難しい質問をよこすもんだ。しかし、頭の体操と老化防止になるので有難く思っている。(多田野 弘)

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あなたの見るとおり、市場は安値志向という徹底した価格破壊が進行している。それは日本だけではなく、デフレは世界経済の基調となって定着しつつあるといえる。

一言でいえば、インフレというのは、20世紀に起こった第一第二の世界大戦と、その後の東西冷戦による、長期にわたる戦争の副産物であり、その逆のデフレは、長期にわたって平和が続く時代に発生する経済基調であるといわれている。長期にわたる平和は、軍需産業が平和産業に移行し、生産コストの安い商品を生み出すこととなり、世界の巨大市場に向かって流入されることによって、さらに一段と価格の下落を招くという、いわゆるデフレが定着するのである。

近代のデフレの特色として、その背景にはIT革命が大きく寄与していることである。ITの基礎技術は新しい経営システムを作りだし、それがメーカーと顧客とをダイレクトにつなぐなどの、経営効率化を高めることとなり、それが生産量の増加とコストダウンを可能ならしめた。またメーカーはIT技術を駆使して、多品種少量生産を可能にして顧客のニーズに応えられるようになった。

このようにデフレは経済成長を妨げるものではなく、むしろ、生産技術の革新と商品価格の低下が、新しい市場を生み出し、経済を活性化させることになるのである。同時に、私達の生活水準を向上させ、商品やサービスの選択の自由を提供することに繋がっている。そういうことから、世界全体が一つの市場となり、同時に激しい競争をもたらすことになるのは間違いない。賃金は勿論、電気、水道に到るまでその対象から除かれることはない。だから、国内はもとより、国境を超えて競争しなければならなくなっている。しかし、デフレによる価格低下は免れないが、価格をとるか、品質をとるかは、顧客自らの選択に委ねられている。最近ユニクロが減収減益を発表したのはその一例である。

デフレは単に経済を活性化させるだけでなく、企業の優劣を公正にジャッジしてくれるまたとない良き時代なのである。それは、強い者勝ちでなく、適者生存の時代、社会の変化に適応した企業と、そして人間が存在を許される時代なのである。そこで、デフレの定着に対して、メーカーとしてはハードの面で低コストの追及は勿論であるが、これからは特にソフトの面に重心を移していかねばならない。その為に、ハード、ソフトを含めて一段と研究開発に注力せねばならないと考えている

私自身は、最近の低価格の商品やサービスにはあまり魅力を感じていない。昔から、安物買いの銭失いというではないか。自分にとってこれは是非必要だと思うものは、高価であっても品質の良い長期愛用できるものを選んでいる。そうでないものは、いくら安価でも求めないことにしている。即ち、シンプル・イズ・ベストを心がけている。

私はどちらかというと少しオシャレの方で、4,500円の散髪に月二回通っていた。4・5年前から頭頂部が大きく禿げてきて散髪の面積が激減したので、減額できるのではないかといったら大笑いだった。未練がましく整髪するよりも、電動バリカンで丸刈りすれば5分で、しかもタダ。そのうえ、散髪に要した二時間は自分の自由時間となるではないか。もっと早く気がつけば良かったと反省すると共に、簡素な生活っていいものだなあと自画自賛している。

航海日誌