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Vol.74 どうして戦争はなくならないの

2003/02/03

今月の質問者:櫻谷 美和さん(サービス部サービスセンター)~最近は友人の結婚式が多く、最高顧問には結婚にまつわるお話も伺いたいです。が、そのお話はまた個別or次回にお願い致します!!

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第二次世界大戦時、戦地での経験をお持ちの最高顧問へ。
先日、小学生のいとこに「どうして戦争はなくならないの?」と問われ返事につまりました。戦争のない平和な国、時代に育ったからかもしれません。

"戦争はいけない"とたいていの人は言いますし、新聞記事からの大量破壊兵器!生物化学兵器!の文字、テレビ報道からは悲惨な光景・・愕然とします。

でも、私はどうして戦争はなくならないか?に対して、確信をもった答えを持っていなかったからです。

この様な小学生からの問いかけに、戦争経験者の最高顧問ならどのように答えてあげますか?優しく教えてください。平和な街に住む市民より。


寒いと思ったら余計に身にこたえるが、「北風に向かって走れ」と自分に言い聞かせると身体の芯がぬくもってくる。

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あなたのこの質問に私は頭を抱えてしまった。あなたはなぜ生きているのかを問われたと同じぐらい、あまりにも純粋で、しかもとてつもなく大きな問題だったからである。

この問いは、地球上のすべての人が問い続けなければならない、人類にとって永遠の課題の一つであるといわれている。今も地球上のどこかで戦いが繰り返されていて、多くの人の命が失われている。人命の尊さを説きながら、どうして私たちは戦争をやめられないのだろうか。同じ人間同士、お互いに手を取り合って共に歩むことができないのだろうか。

私は、一つには、人間には大宇宙の意志によって命を与えられていることにあると考えている。人間は与えられた生命を維持し、成長発展させるような本能を付与されており、したがって、その生存を脅かすものを排除する為に闘わねばならない宿命を持っている。つまり、戦争は人間集団の存亡を問いかける、組織的な社会的行動であるといえるのではないか。

昔の戦争は、人間の生存に必要な食糧や資源を得るために、武力によって領土を占領拡大するのが、世界の風潮であった。最近では、軍事力だけでなく経済封鎖という手段によって、特定地域(国)への資源の流入を断ち、人間の生存を危機に追いやることもある。

どうすれば戦争をなくすことが出来るのか。一つ確信していることは、不幸にして起こった第一次第二次の世界大戦の後、大戦争の脅威は米ソ間の冷戦を境にして終わりを告げ、もはやかつてのような大規模な戦争は起こり得ないといっても言い過ぎではない。まして、国際関係上、強大な殺戮力を持つ核兵器が大規模戦争を抑止する役目を果たしていることである。もしこれが発射されるならば、世界は一瞬にして破滅するからである。

だからといって絶対に安心だという保証はなく、国際政治の複雑さ、難しさを見せつけられることは度々ある。宗教的な紛争、民族間の紛争、独立の為の紛争、最近起こったテロやゲリラ活動、核による脅威など、人間の生存に対して見逃すことの出来ない戦争の火種は至るところにくすぶっているのだ。

しかし、世界のどの国もグローバルな指向を考えていかなければ存続できない環境になりつつあり、武力に依らない平和的な解決を支持する方向に向いていることは確かである。世界は、お互いの国の特質を生かすことによって、共存共栄の気運に向かっている。

これは国家間の問題であるだけでなく、私たち一人一人にも同様のことが言える。それは、自分自身の成長発展を図るためにも、お互いの持てる特質を生かし、相互補完の関係を創ることである。各人の持てる資質天分は他に尽くすことによってのみ生かされ、そこから互いに必要な存在となるのである。

もし、世界中の人達がそうした関係で成り立つ人間社会作りに努力するならば、この世に戦争は永遠に起こり得ないと言えるだろう。

戦争はなぜ起きるのかを問いただすことは、同時に平和のありがたさや、和平をもたらすにはどうすればよいかを教えてくれる。あなたの注文である、やさしい説明ができなくて、しかも、十分な答えになっていないことを諒とされたい。

航海日誌