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Vol.19 ヨットについて

1998/07/01

当社名誉相談役の鋭い感性で得た豊かな経験に触れられる「航海日誌」。社員の声をもっと聞きたいという希望のもと、新企画に模様替えをして3ヶ月、親しみ易くなったのでは。今月も私たち社員が名誉相談役について日頃感じている疑問に、ずばっとお答えいただきます。さて、今月の質問は「ヨットについて」です。実は、名誉相談役は香川県ヨット連盟の会長さんでもあります。(総務課:横山 美文)

今月の質問者:川上謹司さん(設計第3部)~春から秋(4~11月)にはヨットレースを楽しんでいます。冬場の空きを埋めるつもりで始めたラジコングライダーに最近傾注。休日には海に空に、年中『風』と遊んでいます。

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1) 6月号の広島クルージング時の夕食メニューの優雅さには目をみはりました。料理は名誉相談役ご自身で作られたものでしょうか?

2) 名誉相談役は長期休暇時にはよく長期間、長距離のクルージングに出掛けられますが、今まで行かれた一番遠い目的地はどこでしょうか?印象に残った寄港地、食べ物、航海中の冒険談等お聞かせください。

3) 名誉相談役はヨットレースには参加しないのでしょうか?もし、昔は出ておられたのであれば、いつ頃からブルーウォーター派に転向されたのでしょうか?

(ブルーウォーター派:ヨットライフの楽しみ方のひとつで、レース派の反対の意味で呼ばれる。レースの勝敗にこだわらず、クルージングしたり、泳いだり、釣りをしたりヨットをからめて自由に楽しむスタイル)


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私がヨットを始めたわけから話そう。私は50歳になるまで、これといった趣味のない無骨な人間だった。酒も煙草もやらないし、ダンスも苦手,恥ずかしながらゴルフ、マージャン、カラオケすらも出来なかった。(今でもそうだが)

そこで、一念発起始めたのが小型飛行機操縦だったが、飛行時間36時間を経て単独飛行を目の前にして、断念せざるを得なかった。空がダメなら海へ行こうということで始めたのがヨットであった。

最初のヨットは24フイート木造艇だった。数年後パイオニア32フイートに換えてからレースにも好んで出かけるようになり、常に上位の成績を挙げていたが、60歳を境に38フィートに換えてブルーウオーター派に転向した。

現在の40フイート艇は、特に、長距離クルージング仕様になっておりオーブン付きガスレンジ、冷凍冷蔵庫のある広いギャレー、そして温水シャワー、電動トイレ、ダブルバース4を備えている。その他、ハム無線機、GPS,オートパイロット、アンカー電動ウインチもある。

今までの長距離クルージング先としては、西は九州の佐伯、東は和歌山の白浜、南は土佐清水、沖の島あたり。

長距離クルージングの魅力は、なんといっても、知らない海をチャートを頼りに、潮の流れと風を読みながら、行く手の海にどんな場面が待ち受けているか知れないロマンとスリルを満喫しながら、やつと目的地に辿り着いた時の安堵感、達成感はクルージングの醍醐味の一つである。

しかし、楽しい事ばかりではない。何度も恐ろしい目にあったが、それでも懲りずに、また、知らない海へ出て行きたくなるから不思議である。今までに恐かったのは、佐伯港を出て豊後水道を南下しようとした時と、白浜港から紀伊水道を横切って日和佐に向かった時、何れも20mの風と波に翻弄され、止むなく引き返した。進む勇気よりも退く勇気がより大切な事を身を持って知った。

何度でも行ってみたいところは、西宇和海。海が透き通るように綺麗で海底が手に取るように見え、吸い込まれるようだった。また、総じて遠い不便な島程人情は厚く親切で、度々、新鮮な魚を貰ったり、風呂を恵んでくれたりして、お礼の言葉に窮した。

ブルーウォータ派に転向したもう一つの理由は、料理の天才とも言える有能なシェフに恵まれ、写真(Vol.18参照)にあるような美味しい食事に魅せられたからでもある。(食い意地のはっている証拠)その料理は、ヨットに積み込んである限られた食材の中から作られ、しかもどんなに船が揺れていても、きわめて短時間にクルー達に食事を準備してくれる。(長くかかると本人も酔うらしい。)私はその料理を作る時の助手の役を務めているから、全員が酔っても私は酔えないのだ。

その他に、彼女はハム通信をやり、GPSを操り、チャートを計って操舵員に警告を与えるナビゲーターの役も兼ねている。

写真の料理は、ごく日常のデイナーの一例であって、私がクルージングに出かける度にこんな食事をたらふく食べるので、肥満防止のために、毎日の運動を中止するわけにはいかないのである。

●ギャレー(galley)...船内の調理室
●バース(berth)...船内の寝台
●GPS(Global Positioning System)...全世界的な無線測位システム

航海日誌