タダノグループは、「安全はすべてに優先する」という理念のもと、製品の安全確保に最大限の努力を続けています。私たちは、安心して使っていただける製品を提供するためには、まず社員一人ひとりの安全と健康が守られていることが不可欠だと考えています。
2022年3月には、日本国内の工場を対象に外部機関による安全診断を実施し、評価とフィードバックを受けました。この診断結果をもとに、国内外の工場における安全担当者間で定期的な情報共有と意見交換を行い、安全管理体制のさらなる強化・改善に取り組んでいます。
また、従来から継続してきた安全衛生活動に加え、2022年9月よりアニメーションを活用した動画配信型の安全衛生教育を毎月実施しています。これにより、より分かりやすく、効果的に安全意識の向上を図っています。
今後もタダノグループは、社員が安心して働ける職場環境づくりを進めるとともに、安全で信頼される製品を通じて社会に貢献してまいります。
労働環境への取り組み
「安全はすべてに優先する」タダノグループの安全への取り組み

対話を通じた安全文化の醸成 ― 対話型安全観察巡視の導入
2023年5月より管理監督者向け対話型安全巡視の研修を受け、社員の不安全行動や不安全状態を抽出する技術を習得しました。この技術を活用することで、作業者との効果的なコミュニケーションが可能になり、一方的な指摘で終わるのではなく、対話を通じて作業者が納得する形で安全の懸念についてのコミュニケーションをとることができます。これにより、作業者の安全に対する認識が高まり、リスクを減らす活動を行っています。さらに、この技術を習得した方が他の管理監督者に教えることで、技術をさらに向上させる安全活動を推進しています。、安全を切り口にしてコミュニケーションが活発化することで、組織の風通しがよくなり、安全以外のパフォーマンスにも良い影響を与えることを狙いとしています。


全社一体で進める安全文化の向上 ― 安全衛生活動の共有とトップパトロール
タダノでは、国内グループ会社を含む各拠点の代表者が一堂に会し、「安全衛生活動報告会」を毎年開催しています。この報告会では、1年間の安全衛生活動を振り返るとともに、今後の活動計画を共有し、経営層によるトップパトロールも実施しています。
全社で取り組んでいる施策の進捗や成果に加え、各拠点が独自に行っている安全衛生活動についても報告され、優れた取り組みは全社で共有・展開される仕組みです。
最近の好事例としては、以下のような取り組みが紹介されました:
• ヒューマンエラーを12分類し、真因を分析
• 新組織「技能統括グループ」の発足と、安全担当チームによる教育メニューの充実
• 出前形式での運転診断を実施し、交通事故の削減に成功
• ヘルメットに新人マークを付けて“見える化”し、職場全体で育成を推進
これらの活動を通じて、タダノグループ全体で安全文化のさらなる向上を目指しています。

健康経営の推進
タダノは従来から「社員一人ひとりが良い仕事をし、より良い人生を歩むためには、心と身体の健康が重要」という考えのもと、健康経営を推進しています。
健康経営の推進方針

タダノ健康経営宣言
タダノは、1981年に「心とからだの健康づくり運動」をスタートし、積み重ねてきた「健康文化」があります。その「健康文化」を継続し更に発展させていくために、社員一人ひとりの「心とからだの健康づくり」を大切にし、活き活きと働ける明るい職場づくりに、組織全体で取り組むことを宣言します。

タダノ健康経営体制
健康経営宣言に基づき、社員一人ひとりが主体的に健康づくりに取り組んでいます。 健康経営推進本部の人事部および総務部安全衛生G保健師が、健康経営施策の企画、検討、実行、効果検証(PDCA)を担っています。。社員や家族に健康経営施策を展開するために、社内では健康保険組合、労働組合、安全衛生委員会と情報共有および協議・協働し、各職場の所属長やヘルスサポーターの協力を得ています。また、外部の嘱託産業医や社外相談窓口(EAP)と協働および支援いただき、よりよい活動に結びつけています。

健康経営戦略マップ
健康経営への具体的な取り組み
健康経営の評価指標(KPI)
タダノは、健康経営戦略マップを活用し、3つの重点課題に対して、目標指標の達成を目指して四半期毎にテーマを決め、健康経営施策に取り組んでいます(一部抜粋)。

健康経営KPI_前年の活動実績
【重点テーマ】セルフメンテナンス
(1) 節目年齢(25・30・35才)対象の健康教室開催しました
タダノでは、社員の健康管理を重要な経営課題と位置づけ、定期健診の100%受診を継続しています。これは、社員一人ひとりの健康への高い意識の表れです。しかしながら、健診結果における有所見率は67.9%と依然として高く、ヘルスリテラシー(健康に関する理解力と行動力)のさらなる向上が求められています。
社内衛生大会では、「要精査」とされた社員に対し、専門医の診察を受けるよう促す方針が示されました。これに加え、保健師による健診後のフォローや、産業医による医学的所見のフィードバックを通じて、社員の健康課題への対応を強化しています。
さらに、年齢層に応じた「節目健康教室」を開催し、健康に関する知識の普及と行動変容の促進に取り組んでいます。参加者からは「自分に必要なことが明確に知ることができて良かった」といった声が寄せられ、非常に高い評価を得ています。
今後も、社員一人ひとりが自らの健康と向き合い、より良い生活習慣を築けるよう、継続的な支援を行ってまいります。
(2) 健康づくり自己宣言
タダノでは、社員一人ひとりの健康を大切にし、心身ともに健やかに働ける環境づくりを目指しています。その取り組みの一環として、社員が年間の健康目標を自ら設定し、毎月その達成度を自己評価する「健康づくり自己宣言」を実施しています。
設定した目標や評価結果は職場内で共有し、互いに声をかけ合い、支え合うことで、健康意識の向上とともに、社員同士のコミュニケーションを深める機会となっています。この活動は、職場の「和」づくりにもつながり、より良い職場環境の実現に寄与しています。
今後も、社員が安心して働ける、活力ある職場づくりを推進してまいります。
(3) ヘルスサポーターの会
本社のある香川県内では、職場ぐるみの健康づくりを推進するため、各職場からヘルスサポーターを選任し、現在61名が活動しています。ヘルスサポーターは、職場の健康づくり運動の推進役として、社員のセルフケアと職場内でのラインケアを支援しています。コロナ禍を経て働き方や人との距離感が変化する中、健康問題やちょっとした変化に気付きにくい状況が生まれています。そこで、ヘルスサポーターの会では、個人の「健康づくり」だけでなく、職場内の変化に気付き、声をかけられるサポーターの養成を目的とした活動を行っています。具体的には、2カ月に1回の定例会を開催し、コミュニケーション、糖尿病、睡眠などをテーマにした健康教室や、消防士による救命講習などを実施しています。今後も、社員が安心して働ける職場環境の実現に向けて、ヘルスサポーターとともに、健康づくりの輪を広げてまいります。

(4) 社内健康イベント実施報告:「体組成測定会・カラダ測定会」
従業員のセルフメンテナンス意識向上を目的として、「体組成測定会・カラダ測定会(姿勢チェック・握力・足指力測定)」を開催しました。体組成計を用いて「健康をはかる」ことをテーマに、参加者が自身の体力や筋力、姿勢バランスを数値で把握する機会を提供しました。これにより、身体機能や感覚機能の現状を評価し、転倒しない身体づくりへの意識を高めることができました。参加者からは、「自分の身体の状態を客観的に知ることができた」「今後の運動習慣のきっかけになった」といった前向きな声が多く寄せられました。今後も、従業員の健康維持・増進を支援する取り組みを継続してまいります。


【重点テーマ】運動・受動喫煙対策
(1) 健康経営の推進と環境への配慮を両立した取り組み
当社では、社員の健康増進と働きやすい職場づくりを目指し、2022年に健康管理アプリ「KENPOS」を導入しました。
さらに2023年からは、職場チーム対抗のウォーキング大会や、生活習慣改善行動に対するインセンティブ施策を開始。これらの継続的な取り組みにより、2025年度にはKENPOS登録率が31.3%(2023年)から54.8%へと大きく向上しました。社員一人ひとりの健康意識が高まり、健康経営の成果が着実に表れています。
また、春ウォーキング大会に合わせ「ノーマイカーチャレンジウィーク」を開催し、自動車以外の通勤手段(徒歩・自転車・公共交通機関など)を推奨しました。身体にも環境にもやさしい通勤スタイルを推進し、CO₂削減量は「杉の木約6.8本が1年間に吸収する量」に相当することが分かりました。
今後も、社員の健康と地球環境の両方に配慮した取り組みを継続してまいります。



(2) 腰痛予防体操・リフレッシュ体操の取り組み
タダノでは、社員の健康維持と業務中の腰痛予防を目的に、就業開始時にラジオ体操と腰痛予防体操(約3分)を実施しています。さらに、2時間おきに「リフレッシュタイム」を設け、ストレッチ3種目を行う時間を設定。ストレッチを促す音響を流し、業務中でも集団で体を動かす習慣を取り入れています。
また、社内には「体力増進センター」を設置し、就業前・昼休み・終業後に気軽に利用できる環境を整えています。休日には家族と一緒に利用する社員もおり、職場だけでなく家庭でも健康づくりを支援する取り組みとなっています。 今後も、社員が心身ともに健やかに働ける職場環境づくりを推進してまいります。

(3) 受動喫煙対策への取り組み
タダノでは、社員の健康を守るため、早期から受動喫煙防止に取り組んできました。1988年には事務所内分煙を導入し、全国的にも先進的な事例として注目されました。さらに、2008年に全社的な喫煙状況調査を実施した結果、喫煙率は全体で36%、工場内では52%と高い水準であることが判明しました。
この結果を受け、2013年には屋内全面禁煙化を実施し、受動喫煙防止を徹底しました。加えて、禁煙推進を目的に以下の支援事業を展開しています。
・禁煙ラリー
・禁煙外来補助事業
・禁煙体験記の募集
・禁煙チャレンジ週間の実施
これらの活動に加え、非喫煙者・喫煙者双方の意見を尊重しながら、喫煙者のマナー向上を呼びかけるなど、継続的な取り組みを進めています。
今後も、社員が安心して働ける職場環境づくりを推進してまいります。


【重点テーマ】ストレス対策
(1) 心の健康づくり計画
当社では、社員の心の健康を守るため、次の4つのケアを継続的かつ計画的に実施しています。
・セルフケア
・ラインによるケア(管理監督者による支援)
・事業場内産業保健スタッフ等によるケア
・事業場外資源によるケア
この取り組みは、2015年に策定した「心の健康づくり計画」に基づいて進められており、産業医・保健師の増員など、産業保健体制の拡充・整備を積極的に行ってきました。
社員一人ひとりが安心して働ける環境を整えることは、企業の持続的な成長と職場の活力につながると考えています。
今後も、心と身体の両面から社員の健康を支える体制づくりを推進してまいります。

(2) メンタルヘルス動画配信
タダノでは、コロナ禍をきっかけに、社員のメンタル不調の件数が増加しています。
この状況を受けて、保健師や産業医が中心となり、メンタル不調者へのサポート支援を継続的に行ってきました。
今後は、社員一人ひとりが自らの心の健康を守る「セルフケア」の推進が、より重要になってきます。
その一環として、衛生月間行事では、保健師3名による「メンタルヘルス動画配信」を実施。
【女性】【運動】【食事】の3つのテーマで、全社に向けて情報発信を行いました。
この動画は、社員が日常の中で心と身体の健康を意識し、自分自身のケアに取り組むきっかけとなることを目的としています。


【重点テーマ】食習慣
(1) 食生活からの健康づくり
社員の健康づくりの一環として、食生活の改善に向けた情報提供を積極的に行っています。
保健師・産業医による「保健師・産業医だより」では、季節やテーマに応じた健康情報を発信し、社員の意識向上を図っています。
また、社員食堂では「食卓メモ」として、食事に関する情報を掲示。日々の食事を通じて、健康への関心を高める工夫をしています。



(2) 社員食堂での健康づくりと環境配慮の取り組み
当社では、社員食堂の運営を福利厚生の一環として支援し、施設やメンテナンス面でのサポートを行っています。
健康に配慮した食事を提供するため、栄養士が献立を作成する専門会社へ業務を委託し、社員が安心して利用できる環境を整えています。2023年には、食堂担当者がサークル活動で「ゴミの削減・お客様の健康促進ができたで賞」優秀賞を受賞しました。
さらに、カロリー表示などの「見える化」を進め、社員が自分の食生活を意識しやすい仕組みを導入しています。
今後も、食を通じた健康づくりを支援し、社員が健やかに働ける職場環境の整備に努めてまいります。


健康経営 社外とのつながり
(1) 看護学生の実習受入
安全衛生グループを中心に、看護学生の産業保健看護実習の受け入れを積極的に行っています。2025年度は、3校からの学生を受け入れました。
実習では、安全衛生活動の紹介や工場見学を通じて、働く職場における産業保健の実際を学ぶ機会を提供しています。学生たちは、現場での健康管理の重要性や、産業保健師の役割について理解を深めることができました。
今後も、未来の産業保健を担う人材育成に貢献してまいります。

(2) 献血活動
タダノでは1971年より社内献血活動を開始し、2007年には日本赤十字社の「献血サポーター」として登録しました。就業時間内に献血バスを招き、社員が積極的に献血に協力しています。 「献血は命をつなぐボランティア」と言われるように、社員一人ひとりが病気と闘う方々へ想いを寄せ、「奉仕」「協力」の心を育む機会となっています。これは、当社の経営理念「創造・奉仕・協力」を体現する取り組みであり、「心の健康づくり」の一環でもあります。 香川県内では年2回の献血活動を実施しており、事前の希望調査や当日の時間割を工夫することで混雑を防止。コロナ禍においても活動を継続し、2025年にはのべ519名の社員が献血に参加しました。 今後も、社会貢献と社員の心の健康を両立する活動として、献血を継続してまいります。

(3) 取引先や他社の健康経営支援
タダノでは、衛生月間行事の一環として、管理監督者を対象とした健康教室を開催しています。社外講師を招き、社内の管理監督者のみならず、購買先企業の皆様にもご参加いただいており、健康意識の向上を図っています。
また、有害作業に従事する社員を対象とした健康教室も実施し、作業環境に応じた健康管理の啓発を行っています。
2025年度には、購買先企業を対象に保健師による「健康経営」に関する説明会を実施し、併せてアンケート調査も行いました。これらの取り組みを通じて、社内外の関係者とともに健康経営を推進していく姿勢を明確にしています。
今後も、協力企業と連携しながら、働く人々の健康づくりを支援してまいります。


社外からの評価
2018年からは経済産業省・日本健康会議が認定する「健康経営優良法人(大規模法人部門)」にも選ばれています。

健康経営優良法人に認定






