クッキー(Cookie)の使用について

本サイト(www.tadano.co.jp)は、快適にご利用いただくためにクッキー(Cookie)を使用しております。
Cookieの使用に同意いただける場合は「同意する」ボタンを押してください。
なお本サイトのCookie使用については、Webサイトにおける個人情報の取り扱いについてをご覧ください。

Lifting your dreams
検索

Vol.60 成長の意味 ~雪割り酒で今年に乾杯

2001/12/03

今月の質問者:北岡 和典さん(営業統括部)~体脂肪率20%以下を目指して休日はウォーキングをしていますが、平日の暴飲暴食がたたって、なかなか目標が達成できません。

vol_60_img1.jpg

早いもので今年も残すところわずか1ヶ月となりました。充実した1年であったか、去年よりは成長したか、と問われると未熟な私は自信がありません。たぶん私と同じように感じていらっしゃる方々も多いと思います。

現代社会のシステムは効率性と合理性が最優先されます。そこでの評価は、どのくらい役に立つのかといった機能的な側面のみが重視されます。極端な言い方をすれば、会社組織においては評価の尺度に無い成長は無意味です。この社会システムに自分を適用すればするほど、虚しさが広がっていくような気がします。

世の中は豊かになっているはずなのに、満たされないと感じ、職場や家庭などのさまざまの場から「一生懸命やっているのに、何故なんだ。」と、悲痛な叫びが聞こえ、悲惨な事件が起こっています。

暗い話ばかりが多く社会に魅力を感じなくなり、人間が本来問うべき成長の意味を消化しきれず、私自身も含めて多くの人が不完全燃焼を起こしているように思えてなりません。抽象的な質問で申し訳ありませんが、名誉相談役の成長についてのご経験や現在ご自身に課していることがあればお聞かせください。これからの参考にさせていただきます。


先日向こう脛をぶつけたが、骨に届く傷らしく五針縫合するハメになった。この程度の傷、戦地だったらヨーチンだけで放り出されるのに、有難いことだ。(多田野 弘)

photo05.jpg

まず、あなたが今年一年を振り返ってみて、その至らなかったことを反省している姿勢に対し敬意を表したい。まだ不充分だと思うところに成長が約束されているからである。

人間集団である社会は、大きさに関係なく、経済性・合理性と人間性・社会性という二つの要素で成り立っており、そのどちらに偏してもうまくいかないようになっている。だから現代社会システムによる人間の評価は、あなたの言われる効率性、合理性が重視されると同様に、人間性・社会性である協調性、信頼性、価値観、品性、人格などが必ず重視されている。

ただし、この人間性・社会性は尺度がなく合理的に把握することが難しく、具体的に表現できないため、ややもすれば軽視されていることは事実である。というのも、人間はもともと非合理的な存在であり、その集団である社会も当然、非合理的性格を持っているからである。だから、あなたは効率性・合理性は理解しやすく、合理的でない人間性・社会性を理解し難いため、社会システムでは重視されてないかのように受け取っているのではないかと思う。

あなたがいう会社組織において評価の尺度にないものというのは、即ち、人間性・社会性に当てはまるのではないかと思う。だから、その評価の尺度のないものの成長が無意味だと考えるのは無理もないが、同時にそのことは、組織の表面しか見ていないからではないかと思う。何故かといえば、どんな組織でも合理性と人間性のどちらに偏っても成立しないからである。日本経済がバブルに破れたのも効率性・合理性のみを追及し、人間性、社会性を重視しなかったからであって、そのことを教えるための天の啓示かもしれない。

世の中が豊かになったのは、効率性・合理性を追及した結果に違いないが、満たされないと感じるのは、人間性・社会性を軽んじた結果でもあることを多くの人が気付き始めている。物の豊かさより心の豊かさだと言い始めたのもそのことを表している。だから私達は、心の豊かさを得るためにも人間性・社会性を高めることが、これからの社会や組織に必要不可欠であることを、効率性・合理性で固まっている人達に教えてあげなければならない。

人間の成長についてだが、安易な環境の中には人間の成長はないと断言できる。私達は苦難や試練をできるだけ避けようとし、安易な道に逃げ込もうとし勝ちである。むしろ、私達は苦難や試練からこそ多くを学び得るのであって、叩かれ、小突かれ、失敗して初めて学び取ることができるのである。人間が成長し進歩向上するには、困難や失敗の危険に立ち向かい、自らの力でこれを克服した時にのみ、持っている潜在能力が顕在化して能力が自分のものになるのである。

振り返ってみると私という人間は、逆境が作ってくれたとしか思えない。海軍という極端に束縛された環境の中で一年間殴られ鍛えられたおかげで、どんなことにも挫けない逞しい精神力と肉体を作ることができた。三年余の戦場で死線を彷徨したことにより、今生きていることが貴重に思え、実は生かされているのだという事を知り得た。戦場での乏しい食事が美味しく食べられたことが忘れられず、以来どんな粗食にも感謝して美味しく食べられるようになった。兄弟が多く家も裕福でなかったので、大学へ行かせてもらえなかったことが、かえって私に生涯学習の習慣を作ってくれた。思えば苦難や試練が私という人間を創ってくれたとしか言いようがない。

現在、私自身に課していることはVol.55「自分に課していること」を見ていただくこととして、以上述べたことが少しでもあなたの完全燃焼に役立つことを陰ながら祈っている。

航海日誌