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Vol.36 友情について

1999/12/01

今月の質問者:矢田 尊さん(海外事業部)~つい先日、JICAの青年招聘事業に参加しました。山梨県の民宿で中国人青年と大いにお酒を飲んで、大いに語り合い、再会を約束しました。

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私は中国に留学に行った事があるのですが、その時に多くの中国人の友達を作りました。

なかでも、私の家庭教師をしてくれた大学生と仲良くなって、よく一緒に遊びに行きました。その人にはとても良くしてもらって、冬休みに彼の実家に遊びに行ったり、一緒にお酒を飲んで語り合ったりした事がよく思い出されます。

名誉相談役の友情についてのお話や、友人についての思い出深いエピソードなどがありましたらお聞かせ下さい。


多田野名誉相談役:頭頂部が薄くなってきたので思い切ってショートカットにしたが、理容料金はカットしてくれなかった。坊主になったつもりで心の汚れがとれれば、埋め合わせがつくのだが。

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友人との思い出と言えば、軍隊時代の戦友とのものがもっとも深い。彼らとの親密度というのは、血肉を分けた間柄ではないが、家族や友人との間には見る事の出来ない独特のものが有るように思える。

とにかく、寝る時以外は四六時中、顔を突き合わせての生活がある上、逃れられない苦難を共に分かち合い、しかも生死の運命も共にしてきた同志である。お互いの弱点や欠点、恥のすべてを曝け出しての裸の付き合いが、たくまずして戦友愛を創り出してくれる。そこは、隠し事や見せかけの通用しない別世界となるのである。

戦友との間にある、この深い友情を私の貧弱なボキャブラリーで説明することは難しいが、事実を知っていただく事によってわかっていただけると思う。先月号の当欄にその一部を紹介しているが、今回は更に付け加えてみる。

昭和20年2月の頃、私が茨城県神之池航空基地の桜花部隊戦闘機隊にいた時の事である。戦況が逼迫し、少ない飛行機での猛訓練後の整備作業はいつも深夜になることが多かった。私たちは寒さと疲労の為入浴もままならず、着衣のまま寝てしまう日が数日続いたが、久方ぶりにポカポカ陽気のゆっくりした時間に恵まれたことがあった。

同僚の一人が「どうもここが変なんだ、貰ったらしい」と下腹部をしきりに掻いている。私は日当たりのいい所でその個所を検分したが良く分からなかった。「どこだ」。彼はヘアの中だと言う。毛じらみだろうとわかったが、生まれて始めての会見に目を皿にして覗いてみた。いるいる、敵は毛根の中に深く潜り込んで僅かしっぽしか見えない。これじゃあ自分ではどうしようもないはずだ。私は一つ一つ爪楊枝で穿り出してやった。

そのうち、彼は身体の方も痒くなったと言ってシャツを脱いでみると、いるわいるわ、縫い目にビッシリ白身がかった卵が並んでいる。「不潔だなあ」とつぶやいたが、「俺もなんだか痒くなってきたぞ」。まさかと思ってシャツを脱いでみると、なんと我が方にもずらり並んで縫い目に張り付いているではないか。

早速、熱湯で煮沸したのは言うまでもないが、ふたりは目くそ鼻くそを笑うとはこの事かと大笑いした。大変尾篭な話になったが、このような事は日常茶飯事で、お互いに恥部を曝け出して、何の気兼ねもなく頼める間柄は、友情をも超越した美しい戦友愛というものではないだろうか。

君も、そうした凡てを曝け出して許しあえる友人を沢山創ってもらいたい。

航海日誌