N.Y.

1台のクレーンには数万点もの部品が使われています。そのすべてについて、材質や強度、溶接やボルトの締め付けといった加工精度から工程管理、検査方法に至るまで、社内基準に照らして精査・統括するのが、品質管理部の役割です。
私は購買品管理グループで主にパワートレイン系の部品を担当しています。タダノで使う部品の7割が外部からの購買品で、約300社のサプライヤーから調達しています。私の担当先は、エンジンメーカーや車軸メーカーなど、ざっと40社。クレーンのパワートレインは油圧や空圧の配管など、自動車にない機構もあって部品点数が多く、年々増えている電子制御系部品も含め、概して構造も複雑です。そのため不具合対応の難易度も高く、サプライヤーへ出向いて工程を精査する品質監査の機会も多くなります。サプライヤーの多くが東京など県外の企業なので、年に何度か泊りがけの出張が入りますね。時には購買部のスタッフが同行することも。先日も不具合が発生したサプライヤーへ技術指導に出向き、法規も含めた幅広い観点から改善に取り組んでもらいました。そのほか部品の受入検査や国内外の購買先認定など、さまざまな業務を担当しています。購買部に加えて生産技術、モデルチェンジの際には開発部や品質安全部など、社内各部署と協働する場面も少なくありません。

私の仕事全体を10とすると、デスクワークが4、検査が1、残る5は社内も含めた生産ラインでの調査や折衝業務。品質の番人として目を光らせる視点とは別に、「最新のエンジンはこういう構造なのか」というように、未知の機構やメカニズムに触れて素直に楽しんでいる自分がそこにいます。エンジニアとしても機械大好き少年としても、毎日が心躍る体験の連続です。心躍るといえば、モデルチェンジなど新規部品を導入する際に行う「DRBFM」は毎回、気合が入りますね。DRBFMは開発や生産技術、購買など、各部署のメンバーを集めて行う「不具合を未然に防止するためのデザインレビュー」で、毎回、情報共有と品質向上を念頭に、同種の部品における過去の不具合対策を周知するなど、品質管理の立場から積極的に発言するよう心がけています。この件に限らず、部署の枠を超えて協働する機会が多いのも、品質管理の魅力だと思いますね。

タダノに入社する前は、街でクレーンを見かけるとシンプルに「カッコいいな」「迫力あるな」と思うだけでしたが、今は「頼むぞ、無事に働いてくれよ」と、親心のような気持ちで見送っています。
私は入社以来一度も異動を経験していないので、品質管理で磨いたスキルを生かす意味でも、将来的には生産技術や生産管理など、違う部署での経験も積んでみたいですね。品質管理は他部署と協働する場面が多く、現状でも幅広い知見を得ることは十分に可能なのですが、さまざまな新しい業務経験を通して視野を広げ、オールラウンダーに成長したいと思っています。オールラウンダーと呼べるレベルのスキルが身についたころ、街でタダノのクレーンを見かけたら、今より自信を持って「頑張れよ！」と声をかけてあげられるかもしれません。